【獣医師監修】犬に柿はあげても大丈夫?種や皮の危険性と安全な与え方

秋の訪れとともに、食卓に並ぶ甘い柿。美味しい季節の味覚を、愛する「しっぽのある家族」にもおすそ分けしたい、と考える飼い主さんは多いのではないでしょうか。

しかし、「柿の種は危ないって本当?」「どのくらいなら与えてもいいの?」といった疑問や不安もつきものです。

この記事では、犬に柿を与えるメリットから、絶対に注意すべき危険性、干し柿や渋柿との違い、そして安全な与え方までを詳しく解説します。

結論:柿は「種・皮・ヘタ」を完全に取り除けば、少量ならOK!

柿の果肉自体には、犬にとって中毒を起こす成分は含まれていません。しかし、最も注意すべきは「種」です。種は腸閉塞の原因となるだけでなく、微量の有毒物質を含みます。与える際は必ず種・皮・ヘタを取り除き、熟した果肉の部分だけにしましょう。

犬が柿を食べる3つのメリット【栄養素から解説】

柿には、犬の健康をサポートする栄養素が含まれています。

メリット1:豊富なビタミンで免疫力をサポート

柿にはビタミンCやβ-カロテンが豊富です。これらの抗酸化ビタミンは、シニア犬などで不足しがちな免疫機能の維持を助ける効果が期待できます。

メリット2:食物繊維がお腹の調子を整える

水溶性と不溶性の両方の食物繊維が含まれており、腸内環境を整え、健康な便通をサポートします。

メリット3:ポリフェノール「タンニン」の働き

柿の渋み成分であるタンニンには、強い抗酸化作用があります。また、適量であれば腸の粘膜を保護し、下痢を緩和する効果も期待できます。

犬に与えても良い柿の量【体重別ガイド】

柿は100gあたり約63kcalと比較的高カロリーです。与えすぎは肥満や下痢の原因になるため、1日の摂取カロリーの10%以内を目安に、以下の量を守りましょう。

  • 超小型犬(~4kg): 約15g(くし切り1/2切れ程度)
  • 小型犬(~10kg): 約30g(くし切り1切れ程度)
  • 中型犬(~25kg): 約50g(くし切り1.5切れ程度)
  • 大型犬(25kg~): 約80g(くし切り2〜3切れ程度)

与える頻度の目安

柿は美味しい果物ですが、与えるのは週に2〜3回程度までにしましょう。毎日与えると糖分やカロリーの摂りすぎになり、肥満や生活習慣病のリスクが高まります。

糖質量への注意

柿100gには約15gの糖質が含まれています。小型犬にとってはわずかな量でも十分なおやつになるため、糖尿病や肥満気味の犬には与えない方が安心です。

おすすめの与え方

愛犬の好みや体調に合わせて、安全に楽しめるよう工夫しましょう。

  • 一口大に切ってそのまま与える
  • 潰してドッグフードに混ぜる
  • 果汁を少量だけ与える

命に関わる危険も!柿を与える際の最重要注意点

1.【絶対にNG】種は腸閉塞と中毒のリスク

柿の種は硬く、消化されません。飲み込むと腸に詰まり、腸閉塞を引き起こす危険性が非常に高いです。また、種子には微量のシアン化合物が含まれており、大量に摂取すると中毒の恐れもあります。

2. 皮とヘタは消化不良の原因に

硬い皮やヘタも消化に悪く、下痢や嘔吐の原因となります。必ず完全に取り除いてください。

3. 渋柿は「柿胃石(柿石)」のリスク

未熟な柿や渋柿に含まれる「シブオール」というタンニンは、胃酸と反応して「柿胃石(しはいせき)」と呼ばれる硬い石を形成することがあります。これは消化管を塞ぐ大変危険な状態を引き起こすため、渋柿は絶対に与えないでください。

4. 干し柿は糖分の塊!与えないのが無難

干し柿は水分が抜けて栄養と糖分が凝縮されており、犬にとってはカロリー過多の塊です。肥満や虫歯のリスクが非常に高いため、基本的には与えないようにしましょう。

5. アレルギーや持病がある犬は要注意

初めて与える際はごく少量からにし、アレルギー症状(皮膚のかゆみ、下痢、嘔吐など)が出ないか確認しましょう。また、カリウムが豊富なため、腎臓病や心臓病の持病がある犬に与える際は、必ず事前に獣医師に相談してください。

6. 子犬・シニア犬への与え方

消化機能が未熟な子犬や、機能が衰えたシニア犬には下痢や嘔吐を引き起こしやすい果物です。与える場合は、果汁を少し舐めさせる程度から始めるなど、特に少量にとどめましょう。

よくある質問(Q&A)

Q. 庭に落ちている柿を拾い食いしてしまったら?

A. まずは落ち着いて、食べた量と種を食べた可能性があるかを確認し、すぐに動物病院に連絡してください。特に種を丸呑みした可能性がある場合は、緊急を要することがあります。

Q. 柿の葉を食べても大丈夫?

A. 柿の葉自体に毒性はありませんが、硬く消化に悪いため、積極的に与えるべきではありません。お茶などに加工されたものは、カフェインが含まれていなければ問題ない場合もありますが、獣医師に確認するのが安全です。

Q. 冷凍柿を与えてもいいですか?

A. 少量なら問題ありません。ただし冷たすぎると胃腸に負担をかけるため、解凍して常温に戻してから与えてください。

Q. 甘柿と渋柿、違いはありますか?

A. 甘柿は完熟果肉なら少量OKですが、渋柿は「柿胃石」のリスクがあるため絶対に与えないでください。

まとめ

「しっぽのある家族」と秋の味覚、柿を一緒に楽しむために、以下の約束事を必ず守りましょう。

  • 与えるのは「完熟した甘柿」の「果肉」だけ
  • 「種・皮・ヘタ」は100%取り除く
  • 「渋柿」と「干し柿」は与えない
  • 必ず適量を守り、与えすぎない

正しい知識を持つことが、愛犬の安全と健康を守ることに繋がります。ルールを守って、楽しい食のコミュニケーションを育んでください。

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イヌの小町編集部

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